震災で噴出したゆがみ(上) 辛淑玉さん  (週間金曜日3月2日)

殺されゆく弱者 非常時に表れる差別意識
「被災地での「障がい者」の死亡率は、健常者の2倍に上る。」震災での「障がい者」の過酷な状況は、あまり伝わってこない。同じこの号に部落出身者であることをカミングアウトし、猿まわし芸をしながら被災地を回っている「村崎太郎」を追ったルポが掲載されている。「避難所でも障がい者は生活していけなくてやむえず出て行った人も多く入たことがよくわかりました。そういうことは報道されていない。障がい者だけ特別扱いできないという理屈がとおっていたけど違うと思う。もっと差別されてしまう状況になったんです。」と述べている。
 辛淑玉さんの記事では避難所、仮説などで荒れた男性が増えているという。そして、男たちは「酒を飲む」「家族に当たる」「寝ている」と言う状態になって、女性に対する暴力も増えていると報告されている。この記事でショックだったのは、関東大震災のときと同じように朝鮮人・中国人に対する流言がこの震災でもあったということだ。このことは、写真家の小原一真さんの報告にもあった。日本の社会はあまりにも差別意識が底部で噴流している。何が噴出するかわからない日本社会だ。そして怖いのはこれから「福島差別」があふれ出すことだ。「こどものいじめは結婚差別の助走」であり、「外資系会社のがん保険の販売自粛」なども始まっている。「この社会が超えなくければならない差別を、もうなくなったと言ってふたをしてきた結果溜まった膿が、今、福島差別として溢れだしている」
「差別」ということをキーワードにして、放出されてしまった放射性物質のこと、いろんなことを考えて生きたいと思う。
毎日新聞被災地でのバイオレンスについて実態調査が行われていることの記事