「鳥越ゆり子さんの詩の朗読と乃木陽子さんのうた」題して「ことば 抽象から具象まで」
4月5日(日)2時から スペースふうら
鳥越さんから詩集を頂いた。
『音素砂丘』から
「星卵紀元」
<る>になった。
<る>になったとたん、胸がくっと鳴って、鼻水がでた。
涙ではなくて、鼻水がでるところが、いかにも<る>らしかった。
<る>になったら、あまりにも世界が意味にあふれすぎていることに、気がついた。
悲哀はおおいかくしようもなかったけれど、かえってさっぱりした。
意味がないことは、すがすがしい。
そのくせ、<る>について考えていた。
<る>は胸の中心で、ひくひく動く<なにか>だった。
<なにか>ではあるが、<なにもの>でもなかった。
<なんでもないもの>なのだ。
こんなふうに考えることが、もう<る>には似合っていないのだ。
声楽の発声練習のときのように、ドレミの♪が、階段をかけあがり、かけおりた。
るるる、る、るるる。
るるる、る、るるる。
風に耳をすますと、黄金の稲が、稔りの音をたてて、揺れていた。
 (以上「星卵紀元」 冒頭部分)

どのような朗読会になるのかとても楽しみ。当日は、鳥越さんの絵画作品も展示します。。鳥越ゆり子さん、乃木陽子さんが作る世界。
ご一緒しませんか?