儀理百合子さんの写真

儀理百合子さんは生き物の移り変わりを撮ろうとする。花を美しく撮った写真はよく見る。植物にとって花は終わりにいたるまでのひとつの時でしかない。花が枯れるとき、あるいは、かれていく美しさをだせないだろうか、と考えたことがあった。儀理百合子さんの写真は私の問いに見事答えてくれた。
スペースふうらに展示されている彼女の写真は、かぼちゃの腐ったもの、芽の出たジャガイモ、開いた白菜、枯れかけたネギ。光はこれらを美しくする。

儀理百合子メッセージ
毎日食べているやさい
 それらと 光と時間を背景に向き合うとき
冷蔵庫から出し料理する時のとは 全く
別の生命体としての表情を持ち 存在する

有機栽培の野菜と、農薬や化学肥料で育てられた野菜を撮影し 対比させた写真を発表したのをスタートに 私にとって日常的である有機野菜を撮り続けてきた。
食されることなく腐っていった野菜たちは 貪欲なまでの生への執着心を、個々の野菜たちは ただそこにあるという存在の崇高さを 私に語りかけてきた。

 スペースふうらでの写真展は10月5日まで