松永優さんの個展に行く。場所「画廊ぶらんしゅ」阪急宝塚線石橋下車3分。4月8日まで(2日月曜休)

 とてもいい作品展。是非、足を運んでください。
 以下はお話を伺って、私のメモのような感想。
 

 去年の夏、松永さんは毎年しているように東北に出かけた。定宿にしていたところは、建物の礎石だけを残していた。海は静かできれいだった。『津波が湾のヘドロもなに何もかも流していった』地元の人からそのように聞かされた。
 多くの表現者がそうであるように、松永さんも東北をおそった震災、そして、原発が引き起こした惨事について、心のそこに澱のように溜まっていたのだろう。最初は具象で、そして次には抽象で・・・・・表現が模索されていく。「やっと自分の仕事の方向が見えました」いただいた案内のハガキに書かれていた。松永さんに「どの作品でそれを感じられたのですか」と聞いてみた。「惑星の孤独」と題された、個展5日前にできた作品。
その作品には鳥が深い悲しみを持った「不死鳥」のように描かれている。祈りにもにたような一作。藍は深い色に染められ、宇宙に広がる空間のように思える。そして、古代語のようなしるし。壮大な叙事詩の一部だろうか。
 人類が生れ、生きてきた記憶とその痕跡。そして、地球という自然の中の一部である、そういうことをすっかり忘れてしまっているような現代。古代から。悲しみも喜びも、そして、愛も憎しみもすべてが贈り物のように私達に降り注いでいたのではなかったか。
 「未来への寓話」と題された作品には爆発した原発のような建物が描かれている。そして、壊れかけた船。文様された足の裏。月を持った三角の形象が、松永さんが生み出した子どものようにゆらゆらと昇っていく。思わず涙が出てくるのだ。
いい展覧会です。4月8日まで。