春待ちたより

スペースふうらがオープンして一年。今年も「野の花工房」から梅の枝が届いた。昨年オープニングのとき野の花工房のアーチ・みずえちゃんが持ってきてくれて、参加してくださった人にも、お土産として持って帰ってもらった。するとしばらくして、たくさんの方から「梅たより」をいただいた。「野の花工房」からいただいたお便りには「春待ちたより」と書かれていた。


「死刑台から教壇へ」―私が体験した韓国現代史--この本を書かれた 康宗憲(カン・ジョンホン)さんを招いて「スペースふうら」でお話を聞く催しをすることになった。
康宗憲(カン・ジョンホン)さんは1951年生まれ在日韓国人。1975年留学中に政治犯として逮捕され獄中に13年。現在いくつかの大学で講師されている。韓国の軍事政権化ではとても多くの人々が犠牲になっている。在日韓国人では留学生だけにとどまらない。民主化闘争で多くの人々の血を流しながら、軍事政権から民生政権になり、そして、今までの歴史の検証が行われいる。その中では軍事政権化の裁判についても検証が進められていた。「在日韓国人政治犯」として「事件」を捏造された判決に対しても検証が行われた。昨年から今までに再審を請求した在日韓国人3名の方が名誉を復権されている。
 この本では過酷な獄中を過ごした康宗憲さんを支えた心のいったんに触れることができる。そして、多くの犠牲を払ってきた結果である韓国の民主主義の心を感じることができる。獄中生活の記述を読めば、私だったらとても耐えることができない、とも思う。韓国の獄中ではペンを持てない。ペンを持てるのは月に数度、手紙を書くときだけ。本を読んでも感想を記録することができない。詩が浮かんでも書くことができない。そのような状況下で韓国で詩は伝えられていった。
 私の友人である李東石さんも、1975年に政治犯として5年間獄中に投獄されていた。過酷な尋問。そして拘束。権力によって人生を変更させられた人はあまたにいる。心の傷を持ちながら、病気になってしまった人もいると聞く。過去をしっかり見直そうという韓国の政治は、決して独裁政治には戻らないだろう。一方日本はどうなのか。在日韓国人が本名で仕事をすることに対しても、なお通名の強要などの差別が横行する日本。危うさを感じるのは私だけだろうか。康宗憲(カン・ジョンホン)さんのお話から日本の今を考えてみたい、と思う。
  
 
  2月20日(日) 2時から
  お話     康宗憲(カン・ジョンホン)さん
  場所     スペースふうら 

略歴 1951年生まれ。在日2世。1975年、母国のソウル大学医学部在学中に国家保安法違反の容疑で拘束。77年最高裁で死刑判決が確定。82年に無期懲役となり、88年に仮釈放。89年日本に帰還し、同年韓国問題研究所を設立。その後大阪大学大学院で国際政治を学ぶ。現在、早稲田大学アジア研究機構客員教授立命館大学大阪樟蔭女子大学同志社大学などで日本国憲法9条を中心に平和学を担当している。市民講座などでの講演も多い。翻訳(共訳)   朴ノヘ詩集 『いまは輝かなくとも』